背景

日本の75歳以上人口は2023年に2000万人を超え、過去最高となりました。近年は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」としての健康寿命が注目を集めており、平均寿命と健康寿命との差にあたる「不健康な期間」の縮小が重要とされています。健康的な生活を長く送るためには、栄養の摂取やコミュニケーションなど様々な役割を持つ口腔機能の維持がかかせません。
今回は、東京医科歯科大学 大学院医科学総合研究科 高齢者歯科学分野 國澤 輝子先生の研究における8Kマルチパーパスカメラ(モノクロVer)の活用事例をご紹介します。

近赤外線撮影

アストロデザインのAB-4841/AC-4829-Bは、モノクロセンサーを採用した小型の8Kカメラシステムです。カラーフィルターを使用していないため感度が高く、近赤外線によって微細な血管などの撮影が可能です。当社においてAB-4841/AC-4829-Bと50mmマクロレンズ、近赤外線LEDライトを用いて実際に人の口腔内を撮影し、実験を行いました。

実験と検討の結果

1) 口腔がんの超早期発見
舌、頬、口唇、歯肉など、口の中にできる悪性腫瘍が口腔がんです。そのほとんどは、前段階である口腔潜在的悪性疾患(OPMDs)を経て生じるとされています。生体透過性の高い近赤外線映像を8Kモノクロカメラで捉えることで、口腔潜在的悪性疾患や口腔がんの原発巣周辺における特徴的な異常微細血管など口腔粘膜下の情報を得ることができ、超早期発見を実現できる可能性があると判断されました。

2) う蝕(虫歯)の範囲推定の検討
歯の表面の撮影に8Kカメラを用いることで、肉眼での観察と比べて健全なエナメル質と象牙質や虫歯との境界が明瞭になり、きわめてごく初期の虫歯の判別にも有効である可能性が示唆されました。

3) 遠隔診療への応用の検討
8Kカメラにより細かい部分まで見えるだけでなく、広い視野での観察も可能となることから、歯科の遠隔診療においても有効であると考えられました。

アストロデザインはこれからも人々の健康および生活の質の向上を目指す研究への協力や技術開発を進めてまいります。

関連ページ

電波技術協会報 FORN 2024年1月号
特別寄稿 ●8K超高精細映像技術の歯科医療応用の検討
https://astrodesign.co.jp/astro/Media/240111/FORN_2401.pdf
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