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【国内初】デジタルキャンセル処理による同一チャネルFPU 2対向で PTPを利用した放送TS信号伝送実験に成功

News Release
2025年11月17日
【国内初*1】
デジタルキャンセル処理による同一チャネルFPU*2
2対向でPTP*3を利用した放送TS信号*4伝送実験に成功
株式会社メディアリンクス
アストロデザイン株式会社
株式会社国際電気
セイコーソリューションズ株式会社
株式会社毎日放送
株式会社メディアリンクス(代表取締役社長 菅原司、本社:川崎市)、アストロデザイン株式会社(代表取締役社長 難波豊明、本社:東京都大田区)、株式会社国際電気(代表取締役社長執行役員 佐久間嘉一郎、本社:東京都港区)、セイコーソリューションズ株式会社(代表取締役社長 関根淳、本社:千葉市)、株式会社毎日放送(代表取締役社長 虫明洋一、本社:大阪市)は、2025年10月5日に、同一チャネルのFPU2対向によってPTP非対応のIPネットワークを構築し、PTPを利用した放送TS信号を伝送する実験に成功しました。
今回の検証実験では、国際電気社製の7GHz帯、10GHz帯FPU(FR-ZS200)を2対向使用し、双方向にTS伝送可能な回線を、同一チャネルのマイクロ波で構築しました。複数の送信機を同一チャネルで運用するとお互いに干渉するため、設置環境によって受信機は希望波を受信する事ができません。そのため、従来は双方向でそれぞれ異なるチャネルで運用する必要がありました。そこで、国際電気と毎日放送は、同一チャネルで混信していてもデジタル処理によって干渉波を除去できるFPUを開発しました。これにより、FPUで使用するチャネルを減らせ、チャネルの利用効率を向上させることが可能です。
FPUのTS入出力をIPに変換するための装置(IPoverTS*5)は、アストロデザイン社製のCX-5548Aを使用しました。PTP伝送に対応した特殊な機器ではなく、汎用的な機器を使用して、FPUによるIP回線を構築しました。メディアリンクス社製のIP伝送装置(以下、MDP3020 SFN)を使用し、16.6km離れた生駒山から毎日放送本社へ、PTPと放送TSを伝送しました。放送TS信号をMDP3020 SFNでSMPTE ST2022-2*6に準拠したIPパケットにして伝送、PTPはセイコーソリューションズ社製のPTPグランドマスタークロック(TS-2950)で、SMPTE ST2059*7に準拠したPTP にて伝送しています。
PTP非対応のIPネットワークでは、パケットの伝送遅延が変動し、PTPに求められるマイクロ秒単位の時刻同期精度で伝送することは不可能ですが、受信側となる毎日放送本社に、伝送遅延の変動を平準化できるRPTP*8装置DB3200を使用することによって、PTPを利用した放送TS信号のFPU伝送を実現しました。
今回の実験は、メディアネットワークの高い技術力を持つメディアリンクス、TS処理装置の実績が豊富なアストロデザイン、FPUの新たな取り組みを長年継続している国際電気、放送業界のIP化システムへの移行におけるPTP 同期をサポートするセイコーソリューションズ、近畿広域圏で地上基幹放送事業を行う毎日放送の5社が協業しました。
地上デジタル放送中継ネットワークを構成する伝送方式を多様化、冗長化する事で、今まで以上の強靭化が可能になります。災害時などのBCP対策にも有効な伝送手段になるよう、引き続き検証に取り組んでまいります。
*1 2025年11月 5社調べ
■実験概要図

■用語解説
*2) FPU (Field Pickup Unit)
テレビジョン放送用の映像と音声を、取材現場から無線で伝送する装置
*3) PTP(Precision Time Protocol)
高精度な時刻同期を行うための次世代プロトコル 1マイクロ秒(100万分の1秒)以下の時刻同期確度が担保でき、
時刻はもちろん、周波数基準として利用可能
*4) 放送TS(Transport Stream)信号
地上デジタル放送やBSデジタル放送で用いられる伝送信号
映像・音声・字幕・データ放送などの信号を一括しMPEG-2 TS形式でパケット化
*5) IPoverTS
IPパケットのデータをMPEG-2 TSに組込む方式。
本実験では、RFC 4326で定められているULE(Unidirectional Lightweight Encapsulation)Bridge
と呼ばれる方式を利用し、TSの伝送路を使用してIP回線を構築
*6) SMPTE ST2022-2
IPネットワークを介して番組素材信号を共有するための伝送に関する標準規格
*7) SMPTE ST2059
スタジオサブなどで使われているBB(Black Burst)信号の代わりとなる技術
SMPTE ST 2110-10の中で映像音声のタイミング技術として定義
*8) RPTP(Resilient PTP)
PTP非対応のIPネットワーク上で、PTPを安定同期させる技術
株式会社メディアリンクス、株式会社インターネットイニシアティブ、セイコーソリューションズ株式会社などによって構成されるRPTP Allianceによって確立されている
■実験の様子
本社側

生駒側

製品の紹介
・MDP3020 SFN(メディアリンクス)
https://jp.medialinks.com/products/ip-edge-devices/mdp3020-sfn/
・CX-5548A(アストロデザイン)
https://www.astrodesign.co.jp/product/cx-5548a
・TS-2950(セイコーソリューションズ)
https://www.seiko-sol.co.jp/products/time_server/time_server_lineup/time_server_pro/
・FR-ZS200(国際電気)
https://www.kokusaidenki.co.jp/products/broadcast/recept/fpumaicro/index.html
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社メディアリンクス テクニカルセールス
川崎市幸区堀川町580-16川崎テックセンター18階
TEL: 044-589-3570(代表)
アストロデザイン株式会社 営業3部 担当:古山
東京都大田区南雪谷1-5-2
TEL:03-5734-6301
E-Mail:sfuruyam@astrodesign.co.jp
お問い合わせフォーム
株式会社国際電気 営業統括本部民需営業本部 エンタープライズソリューション営業部
東京都港区西新橋二丁目15番12号
TEL:050-3383-3485
セイコーソリューションズ株式会社 戦略ネットワーク本部 STN営業部 STNインフラソリューション営業課 担当:吉田
千葉県千葉市美浜区中瀬1-8
TEL:043-273-3184
E-Mail:support@seiko-sol.co.jp
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